イギリスには、最南西のコンウォール半島(聖マイケルズ・マウント)からグラストンベリーを貫き、ストーンヘンジまで達する、「マイケルレイライン」と呼ばれる、パワースポットを繋ぐ1本の線があります。それぞれの場所には、アーサー王伝説、ケルト文化や古代の神話、伝説などに関係するモニュメント、古い聖堂や教会、巨石遺物、ストーンサークルなどがあり、スピリチュアルで神秘的、不思議な魅力にあふれています。
「チャリスウェル(井戸)」 聖なる癒しの泉

グラストンベリーの市内から徒歩10分足らず、「聖ミカエル塔」のある丘の麓に「チャリスの井戸」があります。
イギリスでも最も古い聖なる井戸のひとつで、泉の起源は先史時代にまで遡り、これまで一度も枯れたことはなく、無限の生命力の
源として、永遠なるものの象徴として、崇拝されているそうです。また、大昔は、
俗界と聖界が隣り合う場所、土着宗教の神々や妖精達と交流できる、スピリチュアルな世界へ通じる入り口と考えられていたとか。西暦37年、キリストの叔父アリアマテのヨセフが「聖杯」を埋めた場所から湧き出たという説もあるそうです。
井戸は、なだらかな丘に沿って、草木や花々が茂る庭の中にあります。まず、入り口からは、最初に 「vesica
piscis shaped pool 」という池に出ます。
「vesica piscisヴェシカ・パイシーズ 魚の器」の形は、チャリスウェルのシンボルでもあり、井戸の蓋など、庭のあちこちでこの形が見られます。 2つの同じ形の円が重なりあった幾何学形は、2千年前の古代から、
異教信仰の重要な聖なるシンボルであったとか。 これは、天国と地上、精神世界と物質世界、意識と無意識、男性性と女性性などの交差と結合を示しているそうです。
初期キリスト教では、サカナはキリスト教のシンボルであり、イエスキリストとサカナの象徴、また、イコンでキリストと聖母マリアはアーモンドのような形「器」の中に描かれたり、マリアが「器」そのもの、つまり「聖杯」として考えられたりしたせいか(「ダヴィンチコード」でもおなじみ)、キリスト教が入ってきてからは、「ヴェシカ・パイシーズ」は、
アーサー王の円卓の騎士も捜し求めた、キリストの聖杯伝説とも結びついたようです。





次に、ドルイドやケルトの聖なる木である「Yew
Trees」の大木。そして、「アーサー王の中庭King Arthur's courtyard 」 と呼ばれる場所があり、ここは、ちょうどマイケルレイラインが通
っており、「The
pilgrims bath 巡礼者のお風呂」という、小さなプールがあります。流れる水の音を聞きながら、静かに黙想することの出来る癒しの場所でもあります。 寒かったので、私たちは入りませんでしたが、イギリス人の女の子数人が、そこで靴を脱いで、足を浸していました。「冷たいけど、メチャクチャ気持ちいい!」とのこと。






その先には「The
Lion's head ライオンの頭」があり、水を自由に汲むことが出来ます。どうせなら、記念のロゴ入りで、ということで、入り口で、ボトルを購入。飲むこともできますが、鉄分が多く、赤茶けていて(血の色?)、どうもちょっと飲む気ににはなれませんでした。「The
Lion's head ライオンの頭」の傍には、アリアマテのヨセフに由来する、「holy
thorn tree さんざし」の木があり、年に2回のキリスト教の大イベント、クリスマスとイースターに花を咲かせるそうです。井戸へ向かう途中には、ジョン・レノンがそこに座って「イマジン」の構想を練ったという「Angel
Bench 天使のベンチ」が。





羊ものんびり。ゆったりとした時間が流れます。
やっと「チェリスの井戸」にたどり着きました。
井戸(泉)のオークの木の蓋には、「ヴェシカ・パイシーズ」と「Bleeding Lance 流血の槍?」の模様が。「Bleeding
Lance」というのも、もともと魔法的な聖なるオブジェで、アーサー伝説の流血の槍や、キリスト教の聖杯伝説などにも結びついていったようです。 井戸の内部も、いろいろな意味合いがあるようですが、ちょと暗くてよく見えませんでした。中には、リンゴ
が数個落ちていました。









チェリスの井戸の水は、「オーラソーマ」のボトルにも数滴使われているそうです。
売店で、チェリスグッズ
を手にし、次に 「トールTor」 に向かいます。
Chalice
Well のサイト(英語)
http://www.chalicewell.org.uk/home.html
井戸に関する、詳細な説明やヴァーチャルツアーも楽しめます。リンクには、グラストンベリーについてやアーサー王と聖杯伝説、スピリチュアル、ヒーリング関連、
オーラソーマ、庭や泉、史跡関連のサイトなどがいっぱい。
「グラストンベリーの丘と塔 Glastonbury Tor」 アーサー王と妖精王の丘

チェリスの井戸から丘を登ること20分足らず。低地の中にある小高い丘は、傷ついたアーサー王が渡ったとされる「アヴァロンの島」、と言われて
います。Tor とは、ケルト語で「円錐上の丘」なんだとか。 ここには、屋根のない St
Michael's Tower
「聖ミカエル塔」という一本の塔が立っています。正確には、中世の教会の塔の跡なのです。丘の上には本当に「塔」しかないのですが、発掘で、5、6世紀の遺物や、砦の跡が見つかったそうです。これも、ケルトの英雄アーサー王伝説の所以でしょうか。
そのほかにも、ケルト神話に出てくる妖精王グインの国、Annwnへの入り口だとか、実は迷宮だとか、いろいろと人々の想像をかき立ててくれる場所です。頂上に塔をいただく孤高の丘は、特に霧がかかった時は、とても幻想的、神秘的な雰囲気を漂わせています。




丘の上からの眺めも最高。2千年前は海で、その昔は沼だったという、低い湿地帯の上の丘は、本当に「島」のようです。
塔の中には、無人売店もあり!



ここは、「ナショナルトラスト」が所有、管理をしていて、入場料も無料!
ところで、「ナショナルトラスト」 http://www.nationaltrust.org.uk/main/w-index.htm では、幽霊を見に行くツアー
なども主催しており、さすがイギリス。
グラストンベリーの丘のサイト(英語)
http://www.glastonburytor.org.uk/
「グラストンベリー修道院」 アーサー王とグイネビアが眠る場所
グラストンベリー修道院跡は、街の中心にあり、広大な緑の敷地や池を付せ持つ、大きな廃墟です。
アリアマテのヨセフが聖杯を持って訪れた伝説の場所に、修道士のグループが建てたのが起源といわれ、「地上に建てられた
世界でもっとも古い教会」なのだそうです。
このあたりは、イギリスでも早くからキリスト教化された場所で、その後、幾度と再建され、往時はイギリスでも最も豊かで大きな修道院の1つであったようです。

16世紀のヘンリー八世時代に、プロテスタントが英国国教となり、カトリック教会は解散させられ、寂れていきました。 現在は教会の廃墟のみが残っています。 この修道院もまた、アーサー王伝説ゆかりの地で有名です。
1191年に、アーサー王とその妻グイネビアの墓石が発見され、人骨も見つかったそうなのですが、残念ながら、現在は散逸.....。



修道院の厨房には、当時の食べ物のサンプルや食器が。テーブルの上には「This food is old and
well beyond its time eating
」 、この食べ物は古くて、賞味期限をメチャクチャすぎていますよー、と書かれた張り紙。

当店でも扱っている、バターパッド発見。実際にこのように使われていたのですね。



ビジターセンターでは、中世の格好をしたおじさんが、ていねいに伝統的な組み紐の編み方を教えてくれます。



売店にて修道僧の格好をしたモンクベアをゲット。
グラストンベリー修道院のサイト(英語)
http://www.glastonburyabbey.com/
グラストンベリーの街
人口1万人足らずの街ですが、ストリートには、ヒーリングやセラピー、マッサージ、ストーンやタロット、
魔女の家、サイキック、スピリチャル関連のショップや本屋さんがひしめきあっています。
滞在して、トリートメントが受けられる宿泊施設もあり。
カフェもお店もだいたい5時で閉まるので要注意!
グラストンベリーオンラインのサイト(英語)。 グラストンベリーに関するあらゆる情報がここで入手できます。
http://www.glastonbury.co.uk/
駆け足で日帰りでしたが、楽しいデイアウトでした。ストーンヘンジは行ったことがあるのですが、いずれは「マイケルレイライン」の他の場所も訪れてみたい、と思いました。